江戸より300年続く老舗18代目牡蠣漁師が語る 〜牡蠣と瀬戸内、宮島弥山のエコサイクル〜

広島の冬の風物詩・牡蠣の水揚げを体験

宮島を対岸に望む広島県宮島口で、江戸時代から牡蠣養殖を続けている島田水産。生産現場の目の前で獲れたての新鮮な牡蠣を食することのできる『牡蠣小屋』には、広島県内はもとより遠くからも多くの人が訪れます。18代目である島田俊介さんに、牡蠣の水揚げ現場の体験や、海からの宮島参拝、牡蠣の朝食がセットになったプランを誕生させた思いを伺いました。

世界の舌を魅了する広島の牡蠣

牡蠣の名産地として知られる広島で、300年以上続く牡蠣の生産者として知られる島田水産。江戸時代はカキ船で牡蠣料理を振る舞っていた伝統は、今は水揚げされる生産現場の目の前で、プリプリの新鮮な牡蠣を味わえる『牡蠣小屋』として引き継がれています。日本各地はもちろん、コロナ前にはSNSを通じて海外からも多くのお客さんが来店し、香港や台湾から毎月来る常連さんもいたそうです。

そんな島田水産があるのは廿日市宮島口。宮島を対岸に望む、かつて広島藩主も別邸を構えていた風光明媚なエリア。厳島の山林から海に流れこむ養分と穏やかな瀬戸内の海が、3年の時間をかけ牡蠣を芳醇な味わいに育みます。

間近で見る、水揚げ作業の迫力

早朝まだ暗い内から行われる牡蠣の水揚げ作業。島田水産では、10月〜5月までの間、広島寒冷期の風物詩である迫力ある牡蠣の水揚げ作業を見学することができます。 「牡蠣の水揚げシーンは、ニュースなどでもよく流れる馴染みのある映像です。10m程ある一本の垂下連に300〜500個の牡蠣が付いたものを引き揚げる作業現場を、間近で見てもらえます」。島田水産会長の島田俊介さんが説明をしてくれます。

早起きをして海の上から見る、特別な宮島

ツアーは朝7時に集合。現場に近づく小型漁船の上で、牡蠣が育まれる瀬戸内や養殖の話、エコサイクルの話などを聴きながら、牡蠣筏にも上陸して養殖風景の観察もします。

水揚げ見学が終わったら船は宮島の方角へ。「空気が澄んでいる朝は、宮島がもっとも美しく見える時間帯。特別な景色です」、幼い頃から見続けていても、毎回感動を覚えるという島田さんの言葉です。

海の上から宮島を参拝したら、島田水産桟橋に戻り、島田さんの奥様が作る牡蠣雑炊や、炭火で焼いた香ばしい焼き牡蠣などで暖まります。海風に当たったあとの朝食は格別です。 広島の代表的な食材・牡蠣を見て食べて、海からの宮島を体験できる、ギュッと詰まった2時間のツアーとなっています。

お客さんの声が、水揚げ体験ツアーのきっかけ

このツアーを始めたきっかけは、牡蠣小屋に食事にきた常連さんの「生産現場を見てみたい」との声があり、船に乗せたことでした。

「テレビでよく見る水揚げを間近に見ることができて感動したと、自分にとっては当たり前となっている光景に感動してくれる人がいる。お客さんのその言葉を聞いて、生産者として新鮮でした」、島田水産会長の島田俊介さんは、当時を思い出しながら語ります。 だったら、牡蠣を食べる前に見てもらえば味もぐっと美味しく感じられるだろうし、牡蠣により親しみも持ってもらえるに違いないと、定期的に始めたのがこのツアーでした。

江戸時代から続く、牡蠣養殖業の18代目として

17歳から携わるようになり、300年続く家業の18代目を継承した島田さん。現在は息子さんに社長を託し会長となっていますが、「牡蠣は人生」と語る熱い思いに変わりはありません。

牡蠣は、以前は市場に卸していましたが、牡蠣の流通が様変わりし、相場が落ちてきたバブル期頃から自分たちで組合を作って出荷するように。今では島田水産から一日に出荷する牡蠣の量は実に8〜10万個になっています。

生産者自ら開発したことで話題になったブランド牡蠣『安芸の一粒』は、失敗を繰り返しながら5年の歳月をかけ製品化。もっとも多い時で一日700人が訪れる『牡蠣小屋』を始めたのも、島田さんです。「どこかで食べることができたらいいのに、というお客さんの声を聞き、以前、九州の漁協の方が小屋を建ててお客様に食べてもらっているという話を思い出して、やってみたのが始まりです」。最初はテーブル1つで、雨が降ると傘をさしながら食べてもらっていたことも。屋根をつけ、寒さをしのぐ壁をつけと、増築していった姿が今の牡蠣小屋です。はじめは焼き牡蠣しかなかったメニューも、昔かき船で出していた料理を叔母さんに教えてもらって、本格化させていきました。

知ることで、より美味しく。より広島の牡蠣のファンに

牡蠣の水揚げ体験ツアーは、観光事業担当の沖原さんが船を操縦し、ツアーの説明は島田さん自ら行い、参加者からの質問にも答えていきます。「牡蠣が育つには3年かかると伝えると参加者の方は驚かれ、もっと大切に食べなきゃなと、言ってくれます」。漁師達の真剣作業の背中を見てもらうことで、広島の牡蠣に親しみを持ってもらえたらと語ります。

「毎日の作業は単調です。そんな中、ツアーにきてもらう人が質問してくれたり、感想を聞いたりしていると、自分達にとって当たり前のことがお客さん目線だと特別なんだ、ということを改めて感じ、感謝する機会を与えてくれます」。生産者たちが思ういいものと、お客さんたちのいいものが違うことにも気付かされ、より美味しい牡蠣をつくっていこうと新たな気持ちに。「子供のときに見たり体験したことは覚えていて、また帰ってきてくれます。体験してもらうことで、広島の牡蠣のファンを作っているんです」と修学旅行生の受け入れや食育にも力を入れています。

「ツアーは朝7時と早いので、この宮島口に泊まってもらえたら、のんびりとした瀬戸内を感じてもらうことができると思います」。 「牡蠣は人生」と語る島田さんと船に乗り、牡蠣の生産現場からスタートする一日を体験してみてはいかがでしょうか。

販売情報
広島県有数の漁場大野瀬戸で育てた島田水産の牡蠣を味わってみませんか?
焼き牡蠣や蒸し牡蠣にオススメの「殻付き牡蠣」、水揚げした牡蠣を一粒一粒打ち子さんが丁寧に向いた「生牡蠣むき身」、新鮮な牡蠣を地元シェフが調理した「牡蠣のオリーブ漬け」などを販売しています。

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